その裏で失われていく物があまりにも多すぎるから。
昔からそう思っていた。
職場に北海道新幹線早期実現の署名が回ってきた時、「北海道に新幹線なんていらない」と言って署名せずにいたら、「そんなことを考える人もいるんだ」と驚かれたことがある。
北海道新幹線開業日の座席指定券も発売され、北海道全体がお祭りムードで盛り上がっている時、それに水を差すようなことを書くのも気が引けるが、やっぱり書かずにはいられない。
青函トンネルに新幹線を通すために急行はまなすが無くなってしまう。
北斗星、カシオペア、トワイライトエクスプレスの特急寝台も全て無くなった。
北海道内のSLの運行も今年で全て終わってしまう。
新幹線とは直接関係なくても、これも新幹線を含めた大きな流れの中における一つの事象だろう。
江差線の木古内~江差間は廃線となり、五稜郭~木古内間は、新幹線開業に伴い第三セクター化される。
三セク移行後、利用者減少により廃線となるのはお決まりのパターンである。
昨日のNHKの北海道スペシャルで北海道の鉄道の歴史を特集していた。
本州の鉄道は町と町を繋ぐために作られたが、北海道は鉄道が延びていく先に町が作られていったとのこと。
そして今、鉄道が消えていくにしたがって、町も消えかけている。
北海道全体に鉄路が張り巡らされていた時代、北海道各地の町は活気に溢れていた。
それが今は、廃墟が目立つばかり。
北海道新幹線の開業は、地方を更に寂れさせるだけ。
私はそう考えている。
だから、北海道知事が地方の活性化をうったえる一方で新幹線開業に浮かれている姿を見ると、大きな矛盾を感じてしまう。
ただの昭和ノスタルジアだろう、と言われるかもしれないが、貧しくても皆一生懸命生きていた昭和の時代が懐かしい。
効率と早さだけを追い求めた終点が北海道新幹線のような気がする。
先日、北海道建設新聞で目に付いた記事である。
廃線になったばかりの江差線で、早くも鉄橋や駅舎、線路等の撤去工事が始まるらしい。
高波で被害を受けて去年の1月から運休になったままの日高本線。
工事費が捻出できず、国からの支援を求めているらしいが、廃線の撤去費にこれだけの大金がポンと出てくるのである。
普通の感覚では理解しがたい。
昭和58年に廃線になった白糠線なんて、鉄橋やプラットホーム、線路などが所々に残っていて、上手く利用すれば歴史遺産としての価値も出てくるだろう。
この広大な北海道で、線路の維持は行政がその役割を担っても良いと思っている。
そうしなければ、何れは北海道からほとんどの鉄路が消えてしまうだろう。
その線路をJR北海道以外にも開放すれば、SLだけを走らせる民間会社だって出てくるかもしれない。
突拍子もない考えだろうか。
将来、新幹線が札幌まで延伸になっても、その先に線路が繋がっていなければ何にもならない。
札幌から先、道内の隅々にまで線路が延びていてこそ、札幌まで新幹線がやってくる意味があるのだ。
考えてみると、私もかみさんも最近30年は新幹線に乗った覚えがない。
かみさんに至っては、高校の修学旅行で乗ったのが最後だという。
北海道には必要の無い新幹線だけど、機会があればH5系新幹線に乗ってみたいものである。
激しく同感!
ぽんたさん、こんにちは。
同じ考えの方は結構いるようなのですが、マスコミは何故か全道民で歓迎モードって感じの報道ばかりで、これで良いのでしょうか!
今から反対しても手遅れなので、少しでも盛り上げようってことなのかな?
何だかな~。