私の実家では5年ほど前に公道沿いに家を新築して移り住んだので、以前の家はいわゆる廃屋と呼ばれるものに近づきつつある。
牛舎や倉庫の建物は使われなくなってから年月を経ているので、屋根に穴も開いて廃屋らしい風格を備えてきているのだけれど、
母屋の方はその気になれば直ぐにでも住めそうな状態のまま残っている。
それでも廃屋の雰囲気が濃くなってきているのは、家の周りに蔓延り始めた雑草のせいだろう。
ところが雑草といっても、盛んに生えてきているのはルピナスにポピーにビオラと、まるで何処かのお花畑のようである。
特にビオラなどは母屋の周りを埋め尽くすように咲いていて、こんなに美しいビオラの群落を私は他で見たことが無い。
どの花も、もともと数株程度は植えられていたのだろうけれど、これだけ広がったのは全て自然の力だ。
花以外にもウドや行者ニンニクまで蔓延っている。
行者ニンニクが葱坊主のような花を咲かせる事を初めて知った。
廃屋は花の美しさを一層引き立てて、花は廃屋の荒々しさを優しいものに変えてしまう。
その美しさに感動しながらも、これらの建物を本物の廃墟として朽ち果てさせてしまうのは何とも勿体無い気がする。
一旦、屋根に穴が開いてしまうと、雪で崩れ落ちるのも時間の問題である。
何とかして穴だけでも塞ぎたいけれど、札幌に住んでいてはそれもままならないのが歯がゆいところだ。
そんな私の焦りを馬鹿にするかのように、屋根の破れたサイロにはハトの夫婦が住み着いてしまったようだ。
ハトに住処を譲るのも良いけれど
もう一度、これらの建物に命を吹き込んでみたい。
メールマガジン「北の道ばた」 No.25 廃屋
ヒデさん、お久しぶりです。
廃屋 きれいですよね。
僕も北海道の風景を見ていて廃屋を見つけると思わず魅入ってしまうことがあります。
そこで暮らしていた人のことや、それまでの出来事の蓄積など、想像すると知らないはずのことなのに感傷も湧いてきますが、時間の流れに従って朽ちてゆくものには絶対的な美しさがあるように思えます。
そういえば、ニニウにも極上の廃屋がありましたよね? どうなったかな~?
最近、リノベーションと言う言葉を時々耳にしますが、美しく朽ちかけた廃屋にもう一度命を吹き込む事ができたらまた素敵でしょうね。
・・・って言うか、いつかそんな素敵な廃屋に移住したい・・・(笑)
Kevipaさん、こんにちは。
残念ながら、ニニウの廃屋は完全に潰れてしまっていました。
でも、潰れたままではなくてその瓦礫を誰かが片付けた跡があったので、その家に縁のある人がそうしたのかもしれませんね。
実家の牛舎を見ていると、改造してそこに住みたくなってきます。
でも、そんなことをしたら母親から「頼むから止めてくれ」と泣き付かれそうですが。(笑)