関東方面に降った大雪では、三日間も車の中に閉じ込められたとか、大変なことになっていたようです。
普段はそれ程雪の積もらない地域での大雪だったので、それだけの騒ぎになったと思われているようですが、果たしてそうでしょうか?
もしも、現在の札幌に1日で1mの雪が降ったとしたらどうなるでしょう?
それも、水分をたっぷりと含んだ重たい雪です!
札幌でもたまに、雨交じりのそんな雪が積もることもあります。
ふわふわの乾いた雪ならば、一度に30センチ積もったとしても、苦も無く片付けることができます。
でも、湿った重たい雪が10センチ積もったとしたら、片付け終わる頃には腰を痛めているかもしれません。
積雪が何もないところに、新たに1m積もったのだとしたら、さすがに甲府市程の混乱にはならないと思いますが、それでも最低3日間は市民生活は大混乱に陥ると思います。
雪の少ない時期に札幌でまとまった雪が降った記録を調べてみると、2001年12月10日に56センチというのがありました。
12月8日の積雪が10センチで、その後4日間の総降雪量が116センチに達しました。
でも、それはあくまでも降雪量の数字で、その時の最大積雪は81センチに過ぎません。
それでも交通網等は大幅に乱れたようです。
今回の甲府市は2日間で112センチの降雪があり、降りはじめた頃の積雪は4センチだったのが、最後には114センチにまで増えたのです。
降雪量が同じくらいなのに積雪が違うのは、気温のせいです。
2001年の札幌では、雪が降り続いた4日間は全て真冬日でした。
一方、今回の甲府市では最低気温が-0.8℃、最高気温が2.4℃という状況の中での降雪と積雪です。
積もっている雪の比重は、甲府の方が圧倒的に重たいのは明らかです。
もしも、既に1m近い積雪となっている今の札幌に、甲府と同じ雪が新たに降り積もったとしたらどうなるのか?
あまりにも状況が凄すぎて、直ぐにはイメージできません。
そこで、札幌で真冬に大雪が降った記録を調べてみると、2000年2月15日に56センチ、1983年2月26日に52センチというのがありました。
そのどちらも、はっきりと私の記憶に残っています。
朝目覚めると、家の前の道路は完全に無くなっていました。
1日の降雪量で一番多かった記録でも、1970年1月31日の63センチです。
私が札幌には出てくる前の話なので、さすがにこれは分かりません。
過去、この程度の降雪で大騒ぎになっていたのが札幌なのです。
しかし、それでも、現在の札幌市の除雪体制が、日本の大都市の中では一番優れていることは間違いないでしょう。
ただ、現在の札幌市全体の除雪能力は、人的にも物的にも低下しているという現実もあります。
除雪事業を担っているのは、ほとんどが土木業者です。
夏の仕事が豊富にあれば、その力を冬の除雪にも使えますが、夏の仕事が少なくなれば、それに伴って人も重機も少なくなるのです。
冬の仕事に合わせて人や重機を用意していたら、会社は直ぐに潰れてしまいます。
色々と書きましたが、今回の関東周辺での大雪災害は、雪が少ない地方での特殊なケースではなく、札幌でも全く同じことが起こり得るのです。
既に1m近い雪が積もっている車庫に、新たに湿った重い雪が1mも降り積もれば、たとえ耐雪型の車庫であっても、潰れるところがでてきます。
落雪事故も多発します。
最低一週間は市民生活は麻痺します。
今回の大雪被害が一段落した頃には、行政の対応など、問題点について色々と議論が出てくるのでしょう。
でも、時々見せつけられる自然の驚異に対して、人間は全く無力であることを、私達は知っておくべきだと思います。
それに立ち向かおうなどとは考えずに、自分たちはそんな自然の中で生きているのだと、改めて思い直す機会にしてはどうでしょうか。
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