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無駄な公共事業

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1月16日の北海道新聞朝刊に「石狩川と当別川の合流地点に人工沼や湿地、河畔林を造成して自然を再生する」 といった事業を紹介する記事が載っていた。
開発局の事業で、この地区の自然を再生するために人工的な沼を造成し、河岸の一部を掘削したりして合流地域周辺を湿地に変える。 さらにハルニレやヤチダモを植林し河畔林を形成、その中に散策路を設け、環境学習の拠点とする。
この内容だけを読んで、「これは素晴らしい事業だ!」なんて思う人が実際にいるだろうか?
確かに自然再生と言うと聞こえは良い。でも、都会の中の壊された自然を再生するのならまだ話は分かるけれど、 多分この付近は周りに何も無い荒涼とした場所のはずだ。
詳しい背景は知らないが、多分、河川工事の結果として生じた無機質な更地を少しでも緑化しようとの考えで始まった事業なのだろう。

無駄な公共事業と言われるけれど、何を基準に無駄と考えるかは難しいところだ。
もしもその事業をやらなかったとしても、誰も困らないし誰にも迷惑をかけない。
これを基準に考えれば、この自然再生事業など全くの無駄な事業と言える。人間が手を入れなくても、自然の遷移に任せておけば、 勝手に自然は再生してくるものである。
ただ問題があるとしたら、工事の跡地をブルでまっ平に整地して踏み固めてしまっているために、簡単には再生できないことだろう。
これだって、整地などしないでデコボコのままに放っておけば、その方が自然は再生しやすいはずだ。
そこに無駄な経費をかけて工事跡地を整地し、更にその上にまた経費をかけて自然を再生する。二重の無駄な公共事業である。
釧路川の蛇行を復元するという事業が行なわれているけれど、これも一度直線化した河川をまた経費をかけて元に戻すと言う、 世紀の無駄事業だと私は思っている。
今回の新聞記事を読んで、その釧路川のことが直ぐに頭の中に浮かんできたのである。

無駄なものは全て止めれば良いと言っても、それではあまりにも詰まらない世の中になってしまう。
この計画は動植物や環境保全の研究者や地元関係者のワークショップで話し合われ、 座長は北海道環境財団理事長の辻井達一氏が勤めているそうだ。
「こんなところの理事長に納まって、御用学者みたいなことやっているんだ!」などと、失礼なことを思ってしまったけれど、 辻井先生は湿原生態系の研究者としても知られている。
その先生が工事の跡地に湿原を再生すると言うのだから、これはとても面白そうだ。湿原が形成されていく様子を再現し、 最高の環境学習の場となるだろう。
もっともこれは絵に書いた餅。お金をかけて施設を作ったけれど、それをまともに管理運営するための予算も付かず、 ほとんど利用者もいないままに荒れ果てて、最後は自然の力に飲み込まれてしまい、結果的にそこに本当の自然がよみがえる。
行政がやるのはせいぜいその程度のものだ。
貴重な税金を投入してやるような事業ではない。こんなところにこそ、企業がCSR活動の一環として取り組んで欲しいところだ。
そうしたら、誰も困らなくて誰にも迷惑をかけなくて、そして誰かが喜べるようなことをもっと沢山できるような気がする。

(事業の背景などを全く知らずに、私の思い込みだけでこの文を書いていますので、 事実認識に間違いがあるかもしれないことをご了承ください。)

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コメント(3)

おひさしぶりです。
今回の事は初耳なので、まったく分かりませんので、何も言いません。
が、釧路川は成功ケースになってほしいです。誰だって良かれと思って失敗するもんですよ。だから、公共事業だって結果として失敗だったとしてもそれはしゃー無い事やと思ってます。だから、良かれと思って元に近い形に戻す。これもいいと思う。
けど、もう失敗だったと分かっている公共事業を繰り返すのだけは辞めて欲しい。
失敗だったと分かって替えようとしている一方で失敗方法を使う事だけはやめて欲しいなぁ
十勝の放水路などね

長々とスイマセン。

leo君、こんにちは。
釧路川の蛇行復元は良いことだと私も思ってます。
でも、せっかくそれなりに復元してきた自然を、この工事のためにまた破壊してしまうことを考えると、素直に良いことだと思えないんですよね。(^_^;
人間の横暴さだけを感じてしまいます。

十勝の放水路のことは私が初耳なので何も言えないです。(笑)
私たちの知らないところで、同じようなことが沢山あるのでしょうね。

私も自然破壊型公共事業はもういい加減にしとけよ。と思っています。担当役所も、工事業者も、とにかく予算をもらって工事したいのです。そして、学者・研究者も彼らから研究費をもらっています。地元の自然保護をうたっている団体だって、補助をもらうようになれば中立ですらありません。最近、自然保護型、環境尊重型工事などと名乗るぶん、たちが悪いとさえ疑います。せめてカヌー乗りくらいだまされずに川の上から眺めていようと思います。

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