滝落ちという崇高な目的のために集まった男たちが勇気ある撤退を決断するためには、それなりの理由が必要なのです。
その理由が何も無かったとすれば、男たちはただのチキン野郎の集まりに成り果ててしまうのです。
前日の三笠地方を襲った集中豪雨により、濁流が荒れ狂う幾春別川の魚染の滝。
その滝つぼの中に見え隠れしている1本の流木により、男たちのプライドは守られたのでした。
「危ないよね、あれ」
「うん、あれに引っかかったら上がってこれないよね」
「そうだよね、残念だけど止めるしかないよね」
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